第一回目では、美容外科の基礎知識と私の考えについてお話しました。第二回目の今回はアンチエイジングの具体的な例についてお話します。
代表的なアンチエイジング術:フェイスリフト
年を重ねると、顔の皮膚と脂肪や筋肉とのつながりが緩くなり、重力によって下垂しタルミが出てきます。顎のラインやほうれい線に、深いしわが目立ってきます。美容外科手術(フェイスリフト術)によって皮膚の下の筋膜を吊り上げ、余分な皮膚を切除し、重力による軟部組織の下垂や余分なシワをとることは若返りに一番効果があります。耳の前後や髪の中の皮膚を切除しますので瘢痕も目立ちません。額のシワを取る場合は頭頂部の頭髪の中を切除しますので、内視鏡を用いることも多くあります。あわせて、皮膚の下の余分な脂肪を吸引し、顎の下の首のタルミを取ることもできます。フェイスリフトは美容外科業界で広く取り入れられている安全性が確立された施術で、入院の必要もなくすぐに効果を実感できるので、当院でも特におすすめの施術です。
いち早く老ける目の周りに効果的な施術
目の回りのタルミは部位の中でいち早く老けるポイントです。年を取ると上眼瞼が下垂してくることはよくみられます。下垂した上眼瞼や皮膚のタルミには、上眼瞼の横しわに沿って余分な皮膚を切り取るとともに、眼瞼挙筋の短縮術をします。上眼瞼の皺取り術によって、眉を上げようとする緊張が取れ、自然にヒタイ(前額部)のシワがなくなります。さらには、頭痛や肩こりの改善に繋がるケースもあります。下眼瞼の皮膚のシワや丸く垂れ下がったタルミも、目立たない下眼瞼縁を切って眼窩脂肪摘出や余剰皮膚の切除を行います。皮膚に傷をつけずに眼窩結膜側から眼窩脂肪を切除することもできます。また、下眼瞼の眼窩脂肪の少ない場合は脂肪注入し若返りの効果を得ることができます。
手術は局部麻酔で、入院が必要かどうかは手術のレベルに応じますが原則的には不要です。効果は5~10年間、維持できます。必要に応じて再手術も可能です。時期は、早期治療が望まれます。手術範囲が少なくなり回復も早く翌日からの通勤も可能です。また早期治療することにより、外観的にも他人から気づかれることなく、いつも若々しいと感じさせることができるのです。
患者様に知っていただきたいこと
深く刻まれた眉間や上口唇の縦ジワなどには、レスチレン(ヒアルロン酸)の注入が良く使われます。簡単にでき、腫れもわずかであるため、その日から普通の生活ができます。ただ、3カ月から6カ月程度で吸収されてしまうので繰り返し注入する必要があります。
額などの筋緊張性の横ジワやカラスの足跡のような笑ったときにできる大きなシワは、筋肉を麻痺させるボツリヌス毒素を注射して対応することができます。この場合は、笑ったときでもその筋肉が動かなくなりますので、若干、表情が変わることになります。3カ月から6カ月で薬の作用はなくなりますので、必要に応じて追加をすることになります。額の筋肉が緊張して生じている額の横ジワにも非常に効果があります。
またアンチエイジングには予防も重要です。症状が進んだ深刻なシワやたるみを解消するには、外科的手術など高度な技術をようする施術が必要となります。大掛かりな施術になると金銭的な負担だけでなく、精神的にも負担を感じる方がいらっしゃいます。たるみなど、お肌が気になり始めた初期段階に、美白効果だけでなくリフトアップ効果も期待できるフォトフェイシャルや、しみやシワを改善する高濃度ビタミンC導入などを受けておくとその後のケアがとても楽になります。
美容外科といえばまず頭に浮かぶのは、若い女の子が目を大きくしたり、鼻を高くしたりまたは胸を大きくすることなどでしょう。しかし、それはいままでの美容外科です。美容外科の概念は時代と共に変化しています。若々しく生きるという意味では肉体的な健康より精神的な健康を求めることに重点がおかれつつあります。最近、アンチエイジングという言葉がよく美容外科の広告に見られるようになってきたのもその現れかもしれません。
このようなアンチエイジングによって、本来の効果以上のメリットが得られることもあります。次回はアンチエイジングと長生きの関係についてお話します。